相続遺言法律相談Q&A 伊藤紘一法律事務所 どうぞお気軽にお問い合わせください
メニュー
HOME
相続Q&A
遺言Q&A
弁護士紹介
お問い合わせ

どうぞお気軽にお問い合わせください
伊藤紘一法律事務所

〒108-0071
東京都港区白金台五丁目22番11号
ソフトタウン白金605
TEL :03-3443-9461
FAX :03-3443-9849】
【オフィシャルサイト】
http://www.itoh-law.com/

伊藤紘一法律事務所

 

相続Q&A



これまで、お寄せ頂いたご相談内容の一部をご紹介いたします。

相続問題は、その状況や家族構成・財産など、さまざまな状況において解決策は変わります。
まずは、専門家に相談し、ご自身の状況など把握されておくことが大事かと思います。

お気軽に、そして出来るだけ早めに、ご相談いただくことをお勧め致します。
TEL:03-3443-9461

相続Q&A


●生前贈与
Q
父がなくなり、相続人の兄と私で遺産分割を行うことになりました。兄は父から長年生活費をもらい、大学の学費も出してもらっていました。これらの件を主張して、遺産分割に反映させることができますか?

A
お兄さんがもらっていた生活費や学費が、「特別受益」(民法903条1項)として、持戻しの対象になれば、その分を相続財産に加えて清算することになりますので、あなたに有利になります。但し、それは計算上の作業であって、持戻し分が直接、遺産分割の対象になるわけではありません。

例えば、相続財産が1000万円あったところお兄さんの特別受益が300万円であれば、これを加えた1300万円の2分の1である650万円が各人の法定相続分になり、この650万円から300万円を控除した350万円が、お兄さんの具体的相続分とされることになり、あなたの具体的相続分は650万円になります。

TOPへ戻る

Q
では、父から兄がもらった生活費や学費は「特別受益」になるのですか?

A
生活費や学費にしろ、一般に広い意味に解されている「生計の基本としての贈与」に該当するのかが問題になりますが、被相続人であるお父さんからの資産、収入、生活状況、社会的地位等から、扶養義務の範囲内であると認められると「特別受益」に該当しないことになります。

なお、扶養義務の範囲外であったとしても、お兄さんが相続財産の維持及び増加に寄与し、その労に報いるために生活費や学費を出していたのであれば、「特別受益」に該当しないとするのが最近の判例の傾向です。

TOPへ戻る

Q
では、父が契約し、被保険者となっていた生命保険の保険金受取人が兄になっているのですが、この保険金請求権はどうなりますか?

A
生命保険金は純粋な意味での相続財産には含まれないと解されていますが、このような場合、保険契約者であるお父さんが支払った保険料が保険金請求権の対価たる実質をもつことから、「特別受益」に該当するか否かが争われています。

通説は、「特別受益」として持戻しの対象とするべきであるとしますが、保険料と保険金額が異なることから、持戻しの対象とする金額については、(1) 保険料額、(2) 保険金額、(3) 被相続人死亡時の解約返戻金、(4) 死亡時までに支払済の保険料全額に対する割合を保険金に乗じて得た金額、とする等の諸説があります。

裁判例も判断が分かれていますが、平成16年に「保険金請求権は、特別受益には当たらないが、保険金の額、この額の遺産に対する比率、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、特別受益に準じて持戻しの対象となる。」とする最高裁判例が出されているので、参考にして下さい。


TOPへ戻る



●生前贈与2
亡くなった人(被相続人)が、生前に誰かに贈与をしていた場合、それは相続の際どのように扱われるのでしょうか。

例えば、被相続人の子である甲と乙が2分の1づつの割合で相続するとして、被相続人に遺産が1000万円あったとします。
ところが被相続人は生前に甲に対して400万円を贈与していました。
この場合、甲と乙は被相続人が死亡した当時に所有していた財産の2分の1づつ、即ち500万円づつ相続するというのが原則です。
しかし、これには例外があります。
甲が受けた生前贈与の400万円が結婚や養子縁組の際の支度金や持参金であるとか、住宅購入などを目的とした暮らしを立てるための資金であるといった
特別の場合には(このような贈与を「特別受益」といいます。但し、第3者が贈与を受けた場合は特別受益にはなりません。)
この特別受益分も含めて甲乙の取り分が2分の1づつになるよう公平を図ります。
具体的な計算方法は、まず1000万円の遺産に特別受益分の400万円を加えた1400万円の2分の1、即ち700万円づつ甲乙の一応の取り分とし、
それから甲については特別受益分400万円を差し引きます。
その結果、1000万円の遺産は、甲が300万円、乙が700万円取得することになります。

さて、右の例で、生前贈与が2000万円で、しかもこれが相続人以外の丙に対して少し返してくれといえる場合があります。
遺留分という問題です。

被相続人が遺贈(遺言による贈与)や生前贈与したことにより、取り分が少なくなった相続人が一定の割合までは取り戻すことができ、
この割合を遺留分といい、遺留分を取り戻すことを遺留分減殺請求といいます。
ただし、被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。

右の例では甲乙の遺留分は4分の1づつですが、何の4分の1かが問題です。
遺留分を計算する場合には、次の財産を合計します。
1. 遺産(遺贈分も含む)、
2. 特別受益
3. 特別受益にあたらなくてもその贈与が被相続人の死亡した時点からさかのぼって1年以内に行われた場合、
4. 1年より前に行われた場合でも被相続人及び生前贈与を受けた者が相続人の遺留分を侵害することを認識していた場合。

ですから、先程の例では、丙が受けた生前贈与が右の3か4の条件にあてはまるときには、生前贈与が2000万円プラス遺産1000万円の3000万円の4分の1、
すなわち750万円づつが甲と乙の遺留分となり、甲乙は500万円づつしか相続していないので、それぞれ250万円づつの不足分を丙に対して請求できるわけです。
なお、遺留分減殺請求は、被相続人が死亡したこと及び被相続人の行った遺贈や生前贈与が自己の遺留分を侵害していることを知ったときから1年以内に行わなければなりません。


●遺産分割協議と相続放棄の申述
Q
私の父が亡くなったので、兄から遺産分割協議書に実印を押してくれと言われました。
それによると遺産はすべて、母と兄とが相続し、私と妹には何もあげるものは無いというのです。実家は兄が継いで、母は兄が面倒をみるから代わりに私と妹は財産放棄をしてくれというのです。私も妹も異存はないのですが、遺産分割協議書に実印を押すだけでよいのでしょうか。

家庭裁判所へ相続放棄の申述もしておいた方がよいという人もいるのですが・・・。

A
結論からいえば、お父さんの死後3ヶ月以内に相続放棄申述書を家庭裁判所へ提出して、相続放棄申述受理証明書をもらっておかれるのが安全です。

TOPへ戻る

Q
相続放棄とはどういうことですか。

A
相続放棄とは、あなたの場合でいえば、お父さんが亡くなったことを知った時から三ヵ月以内に、お父さんの財産は資産も負債も一切相続しないと家庭裁判所へ書面で申し出ることです。
但し、それまでにお父さんの財産を少しでも処分した場合は認められません。

TOPへ戻る

Q
遺産分割協議書の中で、相続を放棄すると書くだけでは、いけないのですか。

A
相続人の間ではそれだけでもよいのですが、お父さん(被相続人)の債権者に対しては効力が無いのです。
だから被相続人の債権者に相続放棄の効果を主張するためには、必ず家庭裁判所へ相続放棄の申述をして、相続放棄申述受理証明書をもらっておくことです。

TOPへ戻る

Q
例えばどのようなときに役立つのですか?

A
お父さんが生前誰かの借金の保証人になっていて、お父さんの死後何年たってから債権者が保証人に請求してきたようなときです。
このような場合は、相続放棄申述受理証明書さえ債権者に提出すれば、支払わなくてもすみます。
TOPへ戻る

Q
保証債務の請求を受けてから、相続放棄の申述をするのでもよいのでしょうか。

A
被相続人の死後三ヵ月以内なら、相続放棄の申述は簡単に認められます。
しかしそれを過ぎると今度はそのような保証債務の存在を知った日から三ヵ月以内に相続放棄の申述をしなければなりません。
申述の遅れた理由について、証拠書類を添えて裁判官を納得させるだけの説明をしなければなりません。
これがなかなか難しいことですから、遺産分割協議で何も財産を相続しないと決まったら、すぐに家庭裁判所への相続放棄の申述をしておかれるよう、お勧めします。
TOPへ戻る

Q
被相続人の死後何年もたってから相続人に請求される例は、他にもありますか。

A
例えば、自分の親が先に死亡して、その後に親の兄弟姉妹が遺産がなく借金だけを残して死亡したときが考えられます。
このような場合は、債務の請求を受けた時から三ヵ月以内に相続放棄の申述をすることが重要です。
TOPへ戻る


●相続預金の払い戻し
Q
父が亡くなったのですが、父名義の銀行預金から私の法定相続分だけ払戻してもらえるのでしょうか。
相続人は母と子が3名ですから、母の相続分は2分の1、子は各自6分の1で、遺産分割の協議は成立していません。

A
銀行としては原則として、相続人全員の同意する旨の文章と全員の印鑑証明書がなければ払戻しに応じないでしょう。

TOPへ戻る


Q
しかし最近、相続人が遺産である銀行預金を遺産分割協議前に共同相続人全員の同意なしに法定相続分の払戻請求できるとの判決が出たと聞きましたが。

A
それは東京高裁平成7年12月21日判決(金融法務事情1445号56頁)のことで、上告されずに確定しました。

TOPへ戻る


Q
その高裁判決が出て、しかも確定しているのですから、最高裁で反対の判決が出ない限り、私の場合も銀行へ払戻しを求めれば応じてもらえますね。

A
必ずしもそうとはいえません。
たしかに、この東京高裁判決が出て以来、一部の相続人による相続預金の払戻請求は、裁判を起こさなくても認めても当然だという意見もあります。
しかし銀行とすれば、他の相続人から苦情が出て相続人間の争いに巻き込まれたり、二重払いをする危険を防がねばなりません。
実際問題として相続人の確定一つを考えても、誰も知らなかった非嫡出子が後から現れることもあり、なかなか困難です。
それで確認できている相続人全員の同意を得て各相続人の払戻しに応じることになります。
同意が得られなければ、やはり判決で決まったらお支払いしましょうということになるわけです。

TOPへ戻る


Q
では葬式費用だけでも払戻してほしいのですが。

A
葬式費用だからといって特別扱いはされません。
しかし緊急の場合は一部の相続人だけの払戻請求に応じる場合もあります。
その場合も葬儀社の請求書か領収書を示す必要があるでしょう。

TOPへ戻る


Q
葬儀費用として必要なことが確認されれば、いくらでも払戻してもらえますか。

A
そうはいきません。
払戻請求者の法定相続分の範囲内の金額です。

TOPへ戻る


Q
私の場合法廷相続分は6分の1です。
父の預金は300万円と600万円の2口あり、葬儀費用は200万円ですが。

A
これについての最新の判例である東京地裁平成7年11月30日判決(金融法務事情1441号32頁)によると、預金債権は一口ごとに別個独立の債権であるため、
払戻しのできるのはそれぞれの預金のうち法定相続分の限度にとどまるとの趣旨の判示をしています。
そうすると本問の場合は300万円の6分の1の50万円と600万円の6分の1の100万円と合計150万円の払戻しを受けられることになります。
相続預金の払戻し手続きについては各銀行で多少の相違があるようですから、窓口でよく相談してみて下さい。

TOPへ戻る


●遺産の管理
Q
父が亡くなりました。母と私を含めた3人の兄弟が相続人になりますが、遺産分割が終わるまでの間、注意しなければならないことはありますか。

A
遺産分割により遺産が帰属するまでの間、遺産は相続人の共有財産となるので、遺産の管理には注意が必要です。

各相続人は、遺産を相続分に応じて使用することができますが、遺産の管理については、
(1)各相続人が単独で行うことができる「保存行為」
(2)相続分の過半数による「管理行為(利用、改良行為)」
(3)相続人の同意が必要な「処分行為」
これらに基づき行うことになります。
遺産である不動産については、具体的には、相続を原因とする相続人全員を登記権利者とする登記申請、不法占有者に対する妨害排除請求、家屋の修繕が「保存行為」、建物明渡請求権の行使、賃貸借契約・使用貸借の解除が「管理行為」、不動産の売買・担保権の設定、借地借家法の適用のある賃貸借契約の締結、不動産の管理委託が「処分行為」になります。

TOPへ戻る

Q
父が亡くなった後の家賃については誰がもらえますか?

A
遺産分割後は賃貸不動産を単独取得したものが当然に家賃を取得します。 相続開始から遺産分割までの賃料は、各相続人がその相続分に応じて取得するというのが近時の判例です。

TOPへ戻る

Q
父の預金は、遺産分割前に、相続人単独で払い戻しを受けられますか?

A
預金の払い戻しは、裁判例では、各相続人が相続分の割合に応じて単独で預金払戻請求権を取得するものとされていますが、銀行実務では、 相続人全員の同意がないと預金の払い戻しを行わないことが多いと言えます。
被相続人名義の預金口座の取引記録開示については、相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、相続人単独で求めることができるとした最高裁判例が 平成21年1月に出ました。

TOPへ戻る

Q
相続税の納付に関して、気をつけることがありますか?

A
遺産分割協議は数年かかる場合がありますので、その間、相続税の納付で不利益を受けることがないように注意しなければなりません。
まず、相続税の現金納付が困難で、物納を検討する場合には、物納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日(物納申請期限)までに、物納手続関係書類を添付して、所轄の税務署長に提出することが必要になります。
物納申請期限までに物納手続関係書類を提出できない場合は、物納手続関係書類提出期限延長届出所を提出し、1回につき3か月を限度として、最長で1年まで物納手続関係書類の提出期限を延長することができます。

TOPへ戻る

Q
他にありますか?

A
配偶者が相続人になる場合には、1億600万円の配偶者控除があり、また配偶者の法定相続分は課税されませんので、1億600万円と法定相続分のいずれか高い方までは非課税となります。
この制度は、相続税の申告期限までに遺産分割協議(抽象的に「配偶者は法定相続分を取得する」という協議でも可)がまとまらないときは利用できませんが、その期限までに遺産分割が出来ない理由を税務署に届け出ておけば、申告期限から3年間は利用できますし、更に、3年経過する時に税務署の承認を受けておけば、その後でも利用できます。
TOPへ戻る


●クイズ・相続 〜相続人は誰〜
Q
A女は、先夫との間に生まれた子Bを連れてC男と再婚し、届出をしましたが、C男を交通事故で亡くしてしまいました。
死んだC男の先妻との間の子Dと認知した愛人との間の子Eがいた場合、Cの相続人とその相続分について、正解はどれでしょうか。

1. BはC男の相続人にならない。
2. DとEの法定相続分は同じである。
3. A女の法定相続分は1/3である。

A
A女の連れ子Bは、A女がC男と結婚しても当然にC男の子になるわけではありません。
C生存中に養子縁組をしていればその縁組の日からBはCの婿出子たる身分を取得するので、Cの相続人となりますが、
そうでない限りCの相続人にはなりません。

一方、先妻との婚姻中に生まれた子Dは摘出子として相続人となり、また、愛人との間の子でCの認知を受けているEも非摘出子として、Cの相続人となります。
それでは、相続人となるA、D、Eの法定相続分はどうなるでしょう。
配偶者と子が相続人の場合、配偶者の相続分は1/2で、残りの1/2を子の間で分けることになりますが、非摘出子の相続分は摘出子の1/2とされていますので、本問では、Aが3/6、Dが2/6、Eが1/6となります。
したがって、正解は1です。

TOPへ戻る


Q
では第二問です。
A男には内縁の妻Bがいますが、子はなく、両親も他界しており、身内としては妹Cと死亡した弟の子Dがいるだけです。
いまA男が死亡したとすると、相続人になるのは誰でしょう。

1. Cだけ。
2. CとD。
3. B、CおよびD。


A
事実上妻として夫婦生活を送っていても婚姻届を出していない場合には、内縁の妻といわれ、相続については配偶者としての地位を認められません。かわいそうですが、BはAの相続人になれません。

それでは、CとDはどうでしょう。
被相続人に相続人となるべき直径卑属(子や孫)、さらに直系尊属(父母、祖父母)がいない場合、はじめて兄弟姉妹が相続人となりますから、妹のCは相続人になります。
また、Dも、生きていれば相続人となったはずのAの弟の地位を承継してAの相続人となります。

このDの場合を代襲相続といい、それは直系卑属の場合には曽孫以下にもみとめられますが、兄弟姉妹の場合には、甥・姪までで、
それ以下の代襲相続は認められていないことに注意して下さい。
結局、2が正解となります。

TOPへ戻る



●遺産とは何か
 民法は「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と定めていますが、遺産とは、この「被相続人の財産に属した一切の権利義務」のことを言います。財産というとプラスのものに限定して考えがちですが、借金のようなマイナスの財産もあり、これも遺産の中に含まれるのです。もっとも、遺産がプラスの財産より借金の方が多く、これを継ぎたくないというのであれば、「相続の放棄」という制度があって相続を継がないこともできます。また、「限定承認」という制度もあって、遺産に含まれる借金などの債務について遺産の中のプラスの財産の範囲でしか責任を負わないこともできます。

 以上のように、遺産には原則としてプラス・マイナスを問わず被相続人の全財産が含まれるのですが、次のような例外があります。

1つは、被相続人の一身に属する権利義務です。
例えば、恩給を受ける権利はその人かぎりで相続の対象になりませんし、また、音楽を演奏する義務のように他の人では履行できない義務は相続されません。

 もう一つは、系譜、祭具および墳墓の所有権です。
これについても、慣行に従って祖先の祭りを主宰する者に承継させることになっており、相続の対象になりません。

 さて、最後に遺産に入るかどうか微妙なケースについて一問クイズを出しましょう。


Q
夫が死亡し、妻と夫の実母が残されましたが、さしたる財産もなく、夫が生前かけていた生命保険がある程度です。保険金の受取人が妻になっている場合、この保険金は遺産に含まれるでしょうか。

1.YES
2.NO


A
夫が自分自身を被保険者・受取人とする保険契約を結び、保険金受取人を他に指定しないで死亡した場合には、その保険金は遺産の一部となります。しかし、本問のように夫が保険契約で受取人を妻と定めていた場合には、妻の有する保険金請求権は契約に基づく妻固有の権利で、相続によって取得するものではないので、遺産の中には入りません。
したがって、正解は 2.NO です。

ただし、そうだとすると、受取人に指定された相続人は多額の保険金を受け取ることができるのに、他の相続人にはわずかの遺産しか分配されないという著しい不公平が生ずるおそれがでてきます。
このような場合については、相続人間の公平を図るため、この保険金の一定割合を特別受益分とみなして遺産分割にあたって考慮するなどされています。
したがって、常にまるまる保険金が手に入るとは限りません。

また、相続税の関係では、本問のばあいの保険金も遺産とみなされて課税の対象となりますので、注意して下さい。

TOPへ戻る


●非摘出子の相続分
 非摘出子とは婚姻外の父母から出生した子のことをいいます。
民法では、非摘出子の相続分は婚姻関係にある父母から出生した子、すなわち摘出子の二分の一とされています。

これを具体的に説明しますと次のようになります。例えば、図のようにA男とB女が婚姻後にYが誕生し、その後A男と甲女との間に婚姻外の子であるXが出生した。また、甲女が、Xが出生する前に乙男と離婚しており、離婚前に摘出子Zが出生してりる場合に、Xの相続分について考えてみましょう。

 これを先程の民法の規定にあてはめますと、Xから見て父親であるA男が死亡した場合の相続については、Xは非摘出子であるからその相続分は摘出子であるYの二分の一となります。そればかりか、Xからみて母親である甲女が死亡した場合の相続についても、Xはやはり非摘出子となり、摘出子であるZの二分の一の相続分しか認められません。

 これは、同じ兄弟でありながら、親の相続に関し、非摘出子は摘出子に比較して不利な取扱いを受けるもので、この民法の規定は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するのではないか問題となりました。この点に関し、従来の判例は、民法が正当な婚姻関係を尊重し、適法な婚姻関係に基づく家族関係を保護するという趣旨があることを認め、民法の規定は、憲法14条に違反しないと判断していましたが、最近東京高等裁判所の判例で違憲の決定がなされました。

その理由を要約すると以下のとおりです。

民法が非摘出子と摘出子との間で相続分に差別を設けても非摘出子の出現を抑止することはほとんど期待できない。又、非摘出子の方からすれば、自分の父母が適法な婚姻関係にあるかどうかはまったく偶然のことにすぎず、自分自身ではいかんともしがたい理由である。このような本人の意志や努力によってもいかんともしがたい事由によって不利な取扱いを受けることは極めて不当な差別であり合理的な理由は見い出せない。

 さらに、先程ものべたように母が法律婚により摘出子を設けて離婚した後事実上の婚姻により子を設けた場合には、その母の相続についても摘出子と非摘出子とが差別される結果となり、これでは、民法の規定が本来意図していた法律婚家族を保護するという趣旨を超えてしまう結果となる。

以上のような理由から非摘出子と摘出子の相続分に差別を設けた民法の規定は違憲とされたのです。
この判例は高裁レベルのもので最高裁で違憲とされたわけではありませんが、実際の遺産分割の中でもこの判例の趣旨は十分生かされていくものと思います。



●生前贈与と遺留分
Q
A子さんの父親甲さんが亡くなって弟のB男さんとの間で相続問題が発生しました。
甲の遺産は時価2000万円の自宅の不動産だけです。
但し、甲は30年前にAが結婚するときに新居を作るようにと400万円(現在の貨幣価値に換算すると1200万円であるとします)を出してやり、
Aにそのお金でAの自宅を購入させました(その時価は1億円です)。

このような場合、AとBとで話し合いがつかないときは、法律上は次のどの解決方法がとられるのでしょうか。

1. AとBとで甲の家を2分の1ずつ相続する。
2. Bが甲の家をもらい、Aに400万円を支払う。
3. Bが甲の家をもらって終りにする。
4. Bは甲の家のほかAから1000万円、又は、これに相当するAの自宅の持分をもらう。


A
生前贈与は遺産に加算

遺産が甲の家だけであれば、AとBでこれを2分の1ずつ分ければよいのですが、Aが甲からもらった新居の購入資金400万円をどう評価するかが問題です。
民法では、住宅購入などの暮らしを立てるための資金を相続人が被相続人から生前に贈与を受けた場合にはこれを遺産に加算して計算することにしています。
したがって、Aが甲からもらった新居の購入資金は遺産に加算して計算することになります。
その金額ですが、民法では相続開始時の時価で評価することになっており、本問の場合は、実務上の取り扱いの大勢は、
購入資金の400万円ではなく新居の時価である1億円とされています。
但し、Aが甲からもらった400万円が新居の購入資金という目的に限定されていない現金であったものを、Aが独自の判断でこの現金を使って自宅を購入したと
いうような事情があれば、現金400万円(時価1200万円)と評価します。

遺留分は確保できる

そうすると、遺産として計算するのは甲の自宅の2000万円とAの自宅の1億円の合計1億2000万円となります。
AとBの取り分はその2分の1の各6000万円となり、Aは既に1億円もらっているので、甲の家はBが取得することになります。
Bの相続分6000万円の内不足分400万円はどうなるかというと、これは計算上のことなので、原則としては、
Aから余剰分を戻してもらうことはできません。
しかし、相続人の遺留分である300万円分(1億円2000万円の2分の1の更に2分の1)はBが甲の家(2000万円)を取得したので
残り1000万円をAからもらうことができます。
なおこの場合、BはAに対して1年以内に遺留分減殺の意思表示をする(内容証明郵便がよい)必要があります。
したがいまして、正解は4ということになります。

TOPへ戻る



●遺留分について
[1]
最近は東京の時価が急上昇して、相続をめぐっての争いが起きないように遺言を作成される方が増えたようです。 ところで、遺言状を作成するには、相続税のことや、遺留分のことも考慮しておかねばなりません。

遺言は、遺言者の意思を法定相続分に優先させる制度ですが、相続人のうち遺言によってある一定分を受遺できなかった者も路頭に迷わないよう保護しようというのが 遺留分の制度です。

遺留分の割合は、直系卑属と配偶者が相続人であるとき、または、直系卑属のみが相続人のときは、本来の相続分の2分の1、その他の場合、例えば直系卑属と配偶者が相続人のような場合は、本来の相続分の3分の1となります。

兄弟姉妹には遺留分はありません。 遺留分を侵害しても当然無効となるものではなく、減殺請求権を行使して初めて問題となるのですが、減殺は、相続の開始と減殺をなすべき贈与または遺贈があった という事実を知ったときから1年間で時効消滅します。

[2]
減殺の方法は、内容証明郵便などで減殺の意思表示をするだけで足りますが、遺留分を侵害する贈与と遺贈がある場合、 遺贈を先に減殺し、贈与を後から減殺します。

ところで、子供3人のうち2人に120万円と480万円の遺贈がそれぞれあり、1人には何も遺贈されなかったようなケースで貰った2人は生前贈与も受けていたので貰わなかった人の減殺額が150万円となるとします。
そうしますと、遺贈の価額の割合は1対4ですから、30万円と120万円をそれぞれ減殺することになり、一方にのみ150万円を請求することはできません。
遺言書を作るとき、遺留分を侵害しないよう工夫しておくことが必要ですね。

[3]
遺言は相続税のことも考えねばなりません。
例えば現金や預金は配偶者に相続させ、評価の低い不動産は子供に相続させる等です。
その他細かい処まで弁護士はアドバイスしますのでお気軽にご相談下さい。



●相続税の物税について

1、相続税については、路線価格を公示価格の80%に近づける作業が行われているのと、実勢価格の下落していることに伴い、路線価が時価より高いという現象も出始め、現金納付より物納をした方が有利な状況もありますので、そのことについてお話します。

2、まず、物納をした方が有利かどうかは、土地を譲渡した手取額(譲渡価格マイナス譲渡所得税マイナス不動産屋さんの手数料)より
相続税評価額が高い場合に有利ということになります。
物納は、相続税評価額で扱われるからです。
物納の場合は譲渡所得税がかかりませんが、次に述べる複雑な手続が要りますので、注意が必要です。

3、物納の要件としては、延納が困難な場合とされ、延納の場合が現金納付が困難である場合であるのと対比されます。
相続税の納期限又は納付すべき日までに申告をしなければなりませんが、申告当初は申告書、登記簿謄本、公図等の必要書類を出せば良いのです。
当初の申告のときは、遺産分割が要件ではないのですが、配偶者のみ分割しておく必要があります。
その後二乃至三年内に現地調査があり、地積更正、分筆登記、境界確認を行わなければならず、死亡後はこれらの費用を相続税の費用と認められないので、これらの手続が生前に行われることが望ましいとされます。
物納から延納への切り替えは認められますので、物納の申告だけ六ヶ月内にして、土地を売るか、物納にするか、その後の収納までの時間を稼ぐのが良いでしょう。

4、ではどんな財産が物納に適するでしょうか。
更地は可、例えば死亡前三年内取得財産は、取得価格で評価されますので、その価格が路線価以上の場合は有利になるでしょう。
貸し地の底地は、死後相続人との間で賃貸借契約が結ばれること、賃料が低額でないこと、契約書の増改築禁止条項があること、貸し地ごとに分筆されていることが要件とされます。
借地や担保提供地、係争地、共有地の持ち分はダメだとされています(共有地全体なら可)。
マンションもダメです。
アパートは取り壊せば可能になります。
譲渡制限株式は、死亡後に譲渡制限を解けばよいことになっています。
問題となるのは、税務署長は、物納財産が処分するのに不適当だと認める場合は、変更を求めることが出来るとされていることで、その対策のためには、他の財産を共有のままにして、未分割にしておく等が考えられます。




●相続税法の改正と対策
Q
平成27年1月以降は相続税法が変わるというのですが、どのような内容でしょうか。

A
平成6年以来基礎控除が5,000万円+1,000万円+600万円×法定相続人の数になり、税率は平成15年以来六段階法(1,000万円以下10%、3,000万円以下15%、5,000万円以下20%、1億円以下30%、2億円以下40%、3億円以下45%、6億円以下50%、6億円超55%)となり、例えば相続財産が8,000万円で相続人が3人の場合、従来は課税されませんでしたが、平成27年以後約175万円かかるといわれ、従来課税される人が全国で4.3%、東京で20%だったのがその倍になるだろうと言われています。

TOPへ戻る

Q
それではどんな対策が考えられるでしょうか。

A
いくつかの案をお示しします。

1. まず、現預金を不動産に転換する方法
不動産の評価は土地は路線価と言って時価の80%くらいですし、更に、小規模住宅地の特例で200m2〜400m2以下の宅地が50%〜80%減額になるとか、又、500m2以上で高台地の適用ができる場合は下の計算式で求めるとか、貸宅地の場合、借地権割合を減ずる等の特例により評価が下がるからです。

広大地補正率・・・0.6−0.05×広大地/1000m2

2. 戸建をマンションに買替える方法
一戸建てをマンション2戸にして、1戸を賃貸にすると評価が下がります。

3. 複数資産を賃貸借併用住宅に組替える方法
土地は区分所有になり、構築物は再建築価格から建築の時から課税時期までの期間の償却額を控除した金額の100分の70で計算しますから評価減になります。
又、貸家の場合、借家権の評価を控除できます。

4. 貸家建付借地権により控除
土地上に法人(家族で構成)の建物を建て、人に貸す方法
この場合ある程度の地代を払う必要があります。
貸家建付借地権保評価は下の計算式で求めます。

その宅地に係る借地権又は定期借地権等の価額−その宅地に係る借地権又は定期借地権等の価額×借家に係る借家権の割合×賃貸割合

5. ワンルームマンションを購入
ワンルームマンションは購入額に対して約75%の評価減が可能で、且つ敷地権割合で土地所有する為に貸付事業用宅地の特例(80%減額、不動産貸付を業とする場合50%)との組み合わせでうまくいけば購入額の10%程の相続税評価になります。
但し、借り手のいないマンションだと意味がないので総合的に考えて下さい。
以上は評価減にする方法をお示ししましたが、具体的に実行する場合は専門家と相談して下さい。

その他1.贈与税の配偶者控除2.住宅取得資金の贈与の非課税枠の利用などの対策があります。

TOPへ戻る



このページのトップへ
HOME相続Q&A遺言Q&A弁護士紹介お問い合わせ
Copyright All Rights Resaerved.